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【実測データ】グリップオイルで床の滑りはどう変わる?摩擦係数を8条件で比較検証

目次

    【実測データ】グリップオイルで床の滑りはどう変わる?摩擦係数を8条件で比較検証

    この記事の結論

    一般的なウレタン仕上げの床は摩擦係数0.290、オイル仕上げでも0.311と、室内では滑りやすい部類でした。これに対し、滑り止めオイル「グリップオイル(速乾タイプ)」を塗ったナラ材は摩擦係数0.827。普通の床の約2.7〜2.9倍まで滑りにくくなりました。ツルツルなウレタン塗装の床でも、専用の下塗り材を併用すれば0.290 → 0.563(約2倍)に改善。床そのものを滑りにくくできることを、測定機の数値で確認しています。

    著者 田邊 瑛二

    Article written by
    田邊 瑛二
    株式会社伊勢通(創業1919年)/日々「滑り止めオイル」を研究・開発

    滑り止め対策で選ばれる3つの理由

    摩擦力が約2倍で滑りにくい① 摩擦力が約2倍本記事の実測でも裏付け。場所を問わず滑りにくい床にできます。
    自然素材で安心② 自然素材で安心植物油が主成分。高齢者・子供・ペットのいる空間でも安心です。
    広い面積は出張塗装③ 広い面積は出張塗装DIYはもちろん、施設や店舗の広い床は出張塗装でも対応します。
    創業1919年、自然塗料ひと筋。全国47都道府県へ出荷し、滑り止め施工の実績は1,100件超。住宅から介護施設・保育園・旅館・寺社仏閣まで対応してきました。

    1. なぜ「実測」したのか|測定の目的

    「グリップオイルは本当に滑りにくくなるの?」——お客様から最も多くいただく質問です。私たちは感覚的な説明ではなく、同じ測定機・同じ条件で塗装を変えて比較した数値でお答えしたいと考えました。そこで2026年6月1日、ナラ材・パイン材それぞれに各種塗装を施し、摩擦係数(すべりにくさの指標)を測定しました。結果を測定方法とあわせて、隠さず公開します。

    今回は2回目の測定です。1回目は「グリップオイルを塗る/塗らない」の基本効果を静摩擦・動摩擦の観点で検証しました。今回はそれに加えて、ナラ材への白木用、速乾タイプ、そしてウレタン塗装の床への施工(下塗り材+速乾)を初めて測定し、「どのタイプを・どんな床に塗るとどれだけ効くか」を製品別に比較しています。

    2. 測定の方法と条件

    再現性を確保するため、測定機・試料・荷重・回数をすべて記録しています。

    測定日
    2026年6月1日
    測定機
    トライボギア 表面性測定機 TYPE:14(新東科学製)
    摩擦圧子
    0.8㎠/接触面にポリエステル製の靴下を使用(室内での靴下歩行を想定)
    荷重
    200g を負荷し、試料を固定したステージを5mm移動
    測定回数
    各条件3回測定し、平均値を採用
    試料
    ナラ材・パイン材に各種塗装を施した8条件
    摩擦係数の測定に使用したトライボギア表面性測定機TYPE:14。ステージに木材サンプルを固定しPCで摩擦力を記録
    写真1:測定に使用した「トライボギア 表面性測定機 TYPE:14」(新東科学製)。ステージに試料を固定し、圧子を一定速度で滑らせて摩擦力を記録します。
    試験に用いたナラ材とパイン材のサンプル板。塗装前後・速乾タイプ・白木用を塗り分けて比較
    写真2:試験に用いたナラ材・パイン材のサンプル。1枚の板を塗り分け、無塗装・塗装前後/速乾タイプ/白木用を同条件で比較しました。
    先端の接触面にポリエステル靴下を張った摩擦圧子0.8平方センチメートルの接写
    写真3:摩擦圧子(0.8㎠)。接触面にポリエステル製の靴下を張り、室内での靴下歩行を再現しています。
    接触面に使用した靴下の材質表示ラベル。ポリエステル98パーセント・ポリウレタン2パーセント
    写真4:接触面に用いた靴下の材質表示(ポリエステル98%・ポリウレタン2%)。条件を明示し再現性を確保。

    荷重の考え方。日本人男女の平均体重を約58.35kg、平均足長24.25cm・足幅10cm(片足の足裏面積を約242.5㎠)と仮定すると、圧子0.8㎠あたりにかかる力は次の通りです。

    58,350g ÷ 242.5㎠ × 0.8㎠ = 約192.5g
    この単純計算(体重が片足全体に均等にかかると仮定)に最も近い、200gを測定荷重に採用しました。※実際の歩行ではかかと・つま先など一部に荷重が集中するため、実際の荷重分布とは異なる場合があります。
    圧子に200グラムの荷重を掛けてナラ材サンプルに押し当てた状態。速乾タイプと白木用の塗り分け面
    写真5:圧子に200gの荷重を掛けた状態(ナラ材・速乾タイプ/白木用)。
    ステージに固定したナラ材サンプルを5ミリ移動させて摩擦力を測定する様子。塗装前と塗装後の面
    写真6:試料はステージに固定し、5mm移動させて摩擦力を測定(ナラ材・塗装前/塗装後)。

    3. 測定結果|8条件の摩擦係数一覧

    摩擦係数は数値が大きいほど滑りにくいことを示します。あわせて、圧子にかかった「最大摩擦力(gf)」も記載しました。

    測定ソフトの記録画面。摩擦抵抗力の時間変化を示すグラフ。2026年6月1日測定の無塗装サンプル例
    写真7:測定ソフトの記録画面。摩擦抵抗力の時間変化を捉え、各条件3回の平均を算出しました(2026年6月1日測定)。

    測定画面の見方。測定では、圧子が動き出す瞬間にグラフが鋭く立ち上がってピークを迎え、その後はほぼ一定の高さで横ばいになります。立ち上がりのピークが最大静摩擦係数(μs/滑り出す瞬間)、横ばい部分が動摩擦係数(μk)にあたります。下図のとおり滑り出す瞬間が最も滑りやすいため、本記事の表では各条件の摩擦係数(と最大摩擦力)で比較しています。

    μsμk最大静摩擦係数(μs)動摩擦係数(μk)滑っている静止滑り出す瞬間=最も滑りやすい加える力 →摩擦の大きさ(摩擦係数)
    摩擦は「滑り出す瞬間」に最大(最大静摩擦係数μs)となり、滑り始めると動摩擦係数μkに下がって一定になります。この一歩目が最も転びやすいタイミングです。
    表1:塗装条件別の平均摩擦係数・平均最大摩擦力(各3回平均)
    樹種 塗装条件 平均摩擦係数 平均最大摩擦力(gf)
    ナラ材 UVウレタン仕上げ一般的な床 0.290 57.933
    オイル仕上げ一般的な床 0.311 62.286
    グリップオイル 白木用当社 0.451 90.291
    UV下塗り材 + 速乾タイプ当社 0.563 112.579
    グリップオイル 速乾タイプ当社 0.827 165.436
    パイン材 無塗装一般的な床 0.440 87.982
    グリップオイル 白木用当社 0.491 98.165
    グリップオイル 速乾タイプ当社 0.503 100.616

    図1:同じ木材で「塗装なし」と「グリップオイル塗装」を並べて比較しました。グレー=塗装なし、オレンジ=グリップオイル。バーが長いほど滑りにくく、右の数字は塗装で摩擦係数が何倍になったかを示します。

    ■ ナラ材(オーク)
    速乾タイプを塗る摩擦係数 約2.7倍
    塗装なし
    (オイル仕上げ)
    0.311
    速乾タイプ
    塗装
    0.827
    白木用を塗る摩擦係数 約1.5倍
    塗装なし
    (オイル仕上げ)
    0.311
    白木用
    塗装
    0.451
    ウレタン塗装の床に施工(下塗り材+速乾)摩擦係数 約1.9倍
    施工前
    (UVウレタン)
    0.290
    下塗り材
    +速乾タイプ
    0.563
    ■ パイン材
    速乾タイプを塗る摩擦係数 約1.1倍
    無塗装
    0.440
    速乾タイプ
    塗装
    0.503
    白木用を塗る摩擦係数 約1.1倍
    無塗装
    0.440
    白木用
    塗装
    0.491

    バーの長さは摩擦係数に比例(最大0.9を基準に表示)。数値が大きいほど滑りにくい。

    4. 考察①|普通の床は意外と滑りやすい

    最も滑りやすかったのは、住宅で広く使われるUVウレタン仕上げ(0.290)でした。自然な質感のオイル仕上げ(0.311)も近い値です。光沢のあるツルツルした床ほど摩擦係数が低く、靴下で歩くと滑りやすい——という体感が、数値でも確認できました。パイン材の無塗装(0.440)は木目が粗く、もともと比較的滑りにくい傾向が出ています。

    5. 考察②|グリップオイルで摩擦係数が約2.7〜2.9倍に

    同じナラ材で比べると、グリップオイル(速乾タイプ)は0.827。オイル仕上げ(0.311)の約2.7倍、UVウレタン仕上げ(0.290)の約2.9倍の摩擦係数です。最大摩擦力で見ても165.4gf対57.9gfと、約2.9倍の差がつきました。白木用タイプでも0.451(オイル仕上げの約1.5倍)に向上しており、仕上がりの艶の好みに合わせて選んでも、しっかり滑りにくくなることがわかります。

    一方、もともと滑りにくいパイン材では0.440→0.503(速乾)と上げ幅は穏やかでした。ツルツルした床ほど、グリップオイルによる改善効果が大きく表れる傾向です。

    6. 考察③|ウレタン塗装の床でも下塗りで約2倍に

    「うちはツルツルなウレタン塗装だから無理では?」という床こそ、効果を実感しやすい対象です。UVウレタン仕上げ(0.290)に専用の下塗り材+速乾タイプを施したところ、摩擦係数は0.563へ。約1.9倍(ほぼ2倍)に改善しました。塗料がのりにくいウレタン塗装の床でも、下塗り材で密着性を確保すれば、床を張り替えずに滑り対策ができます。

    7. 摩擦係数と床の安全|公的な目安との関係

    床のすべりやすさには、公的な目安があります。バリアフリー法ではJIS A 1454に基づく「すべり抵抗係数(C.S.R)」が評価指標とされ、国土交通省や日本建築学会は、通路・出入口・階段・洗面所などでC.S.R 0.4以上が望ましいとしています(体育館の運動時は0.5〜0.9以下)。

    測定方法の違いについて。今回の数値は、靴下での室内歩行を想定した表面性測定機による「摩擦係数」で、靴底を想定したC.S.R(専用試験機)とは測定法が異なります。両者を直接同一視はできませんが、「数値が大きいほど滑りにくい」という方向性は共通です。今回のグリップオイル施工面は0.45〜0.83と、未塗装・既存塗装(0.29〜0.31)を大きく上回りました。

    8. グリップオイルの商品ラインナップ

    用途と仕上がりに合わせて3タイプをご用意しています。

    グリップオイル 速乾タイプ速乾タイプ3分艶仕上げ/実測0.827
    グリップオイル 白木用白木用全艶消しマット/実測0.451
    ウレタン塗装専用 下塗り材下塗り材ウレタン塗装の床に

    まずはサンプル(税込660円〜)でお試しください

    数値だけでなく、実際の質感と滑りにくさをお手元でお確かめいただけます。床の種類がわからない場合や、施設の出張塗装のご相談も承ります。

    速乾タイプのサンプル
    速乾タイプ
    白木用のサンプル
    白木用
    下塗り材のサンプル
    下塗り材

    よくある質問(FAQ)

    摩擦係数が「2倍」になると、どのくらい滑りにくいの?

    摩擦係数は床と接触面の滑りにくさを示す数値で、大きいほど滑りにくくなります。今回はウレタン仕上げ0.290に対しグリップオイル速乾タイプが0.827と約2.9倍。靴下で歩いたときの「ツルッ」が起きにくくなる目安とお考えください。

    どのタイプが一番滑りにくいですか?

    実測では速乾タイプ(ナラ材0.827)が最も高い値でした。艶のないマットな仕上がりがお好みなら白木用(0.451)もおすすめです。いずれも未塗装・既存塗装より滑りにくくなります。

    ツルツルのウレタン塗装の床にも使えますか?

    はい。塗料がのりにくいウレタン塗装の床には専用の下塗り材を併用します。実測では0.290→0.563(約2倍)に改善しました。床の張り替えは不要です。

    この測定はどこで行ったのですか?

    トライボギア 表面性測定機 TYPE:14を用い、各条件3回測定の平均値を採用しています。荷重・試料・接触面(ポリエステル靴下)まで条件を統一し、再現性を確保しました。

    パイン材は効果が小さいように見えますが?

    パイン材は木目が粗く無塗装でも比較的滑りにくい(0.440)ため、上げ幅が穏やかに見えます。ツルツルした床ほど改善効果が大きく表れる傾向です。

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    ※本記事の数値は2026年6月1日に当社が実施した測定結果(各条件3回の平均)です。試料の個体差・測定環境により値は変動する場合があります。C.S.Rの目安は国土交通省・日本建築学会・JIS A 1454に基づく一般的な参考値で、本測定(表面性測定機による摩擦係数)とは測定法が異なります。

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