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吸音パネルは壁から離すと効く?距離別の吸音率データで解説

目次

    吸音パネルは壁から離すと効く?距離別の吸音率データで解説

    結論吸音パネルは貼り方(壁との距離)で効き方が大きく変わります。厚さ9mmのパーフェクトバリア吸音パネルの試験データでは、壁にじか貼りしたとき、話し声の高さ(500Hz)の吸音率は約0.2しかありません。壁から5cm離すと約0.65、10cm以上離すと約0.9〜1.0まで上がります。一方、子どもの高い声や食器の音のような高い音(2000Hz以上)は、じか貼りでも約0.65〜0.85吸います。部屋の使い方に合わせて、貼り方を選ぶのがポイントです。
    著者 田邊 瑛二(株式会社伊勢通 研究開発担当)

    Article written by
    田邊 瑛二
    無垢床の削りと滑り止めの専門家/株式会社伊勢通(創業1919年)

    吸音率とは?数字の読み方

    吸音パネルの性能は「吸音率」という数字で表します。壁や天井に当たった音のうち、どれだけはね返らずに吸い込まれたかの割合で、0〜1の数字で示します。0は「全部はね返る」、1は「全部吸う」という意味です。たとえば吸音率0.6なら、当たった音の約6割を吸っていることになります。

    吸音率は音の高さ(周波数・Hz)ごとに違うのが特徴です。目安として、男性の話し声は500Hz前後、女性の声は1000〜2000Hz前後とされています。子どもの高い声や、食器・おもちゃが当たる音はさらに高い音域です。「どの高さの音に困っているか」で、必要な性能が変わります。

    吸音は「部屋の中の響き(反響音)」をやわらげるものです。となりの部屋や外への音もれを止める「遮音」とは別の対策です。

    壁との距離で吸音率はこう変わる(試験データ)

    下のグラフは、パーフェクトバリア吸音パネル(厚さ9mm)の残響室法吸音率試験の結果です。同じパネルを、壁にじか貼りした場合から、壁との間を50mm・100mm・150mm・200mm空けた場合まで、5通りで測っています。横軸が音の高さ(Hz)、縦軸が吸音率で、右はしは100〜4000Hzの平均値です。

    パーフェクトバリア吸音パネル厚さ9mmの残響室法吸音率試験の結果。壁との距離なし・50mm・100mm・150mm・200mmの5通りの吸音率グラフ
    残響室法吸音率試験(厚さ9mm)。壁から離すほど、低い音の吸音率が上がります。

    グラフから主な周波数の値を読み取ると、次のようになります。

    壁との距離 125Hz
    低い音
    250Hz 500Hz
    男性の声
    1000Hz 2000Hz
    女性・子ども
    4000Hz
    高い音
    平均
    じか貼り(0mm) ほぼ0 ほぼ0 約0.2 約0.35 約0.65 約0.85 約0.3
    50mm離す 約0.15 約0.3 約0.65 約0.9 約0.8 約0.85 約0.65
    100mm離す 約0.15 約0.45 約0.9 約0.85 約0.7 約0.85 約0.75
    150mm離す 約0.25 約0.7 ほぼ1.0 約0.7 約0.8 約0.85 約0.8
    200mm離す 約0.45 約0.85 ほぼ1.0 約0.65 約0.75 約0.95 約0.8

    ※表の数値はグラフからの読み取り値(目安)です。実際の部屋での効き方は、広さ・天井の高さ・内装・家具などで変わります。

    ①じか貼り:高い音には効くが、低い音・男性の声には弱い

    壁にじか貼りすると、2000Hz以上の高い音は約0.65〜0.85とよく吸いますが、500Hzでは約0.2、250Hz以下ではほぼ0です。子どもの声や食器の音のキンキンした響きには効きますが、男性の話し声や低い音にはあまり効きません。

    ②5cm離す:話し声の高さをまんべんなく吸う

    壁との間を5cm空けるだけで、500Hzが約0.65、1000Hzが約0.9まで上がり、平均も約0.3から約0.65へ倍以上になります。会議の話し声やWeb会議の声がこもる、といった悩みには、この「少し浮かせる」貼り方が効果的です。

    ③10〜20cm離す:低い音まで効きはじめる

    10cm以上離すと500Hzはほぼ1.0に近づき、20cm離すと250Hzでも約0.85まで吸うようになります。パネルの後ろの空気の層が、低い音を吸う働きをするためです。ただし1000Hz付近は少し下がるので、「離すほど何でも良くなる」わけではありません。

    壁から浮かせて付けるときは、スタンドオフポスト(壁から離して止める金具)を使います。ポストの長さで、壁との距離を選べます。

    パーフェクトバリア吸音パネル 取り付け方法の説明シート(金具・テープ・天井)お客様サポート|施工説明パーフェクトバリア吸音パネルの取り付け方法壁から浮かせて止める金具(スタンドオフポスト)、引っかけて付けるZクリップ、天井のワイヤー吊り、接着剤・両面テープまで。内装制限のある部屋での付け方も説明しています。取り付け方法を見る ›

    部屋の使い方別・おすすめの貼り方

    データをもとに、よくある3つのケースで貼り方の目安をまとめました。

    ①保育室・教室(子どもの声の響き)

    子どもの声は高めで、じか貼りでも一定の効果が見込めます。壁の上のほうや天井など、子どもの手が届きにくい場所に広めに貼るのがおすすめです。先生の声の聞き取りやすさも上げたいなら、一部を5cmほど浮かせて話し声の帯域もカバーします。

    ②会議室・Web会議・在宅ワーク

    悩みの中心は500〜1000Hzの話し声です。壁から5cm以上離して取り付けると効果が出やすくなります。木の桟(胴縁)などで壁との間にすき間をつくる方法のほか、自立式の吸音スタンドや、机に置く吸音パーテーションも使えます。

    ③オーディオルーム・スタジオ

    低い音まで整えたい場合は、10cm以上の空気の層をとるのが目安です。天井に貼ると面積を広くとれます。天井に取り付けるときは、両面テープではなくビスなどでしっかり固定してください。

    どれくらい貼ればいい?枚数と場所の目安

    部屋の大きさや内装で変わりますが、メーカーの目安は「天井一面、または壁2〜3面」です。限られた枚数なら、音が行ったり来たりしやすい向かい合う平行な壁の片側から貼ると、響きがやわらいだのを感じやすくなります。パネルを重ねて厚くする方法でも、吸音効果は高くなります。

    必要な枚数の目安は、メーカーの残響時間・必要吸音量 簡易シミュレーターで、部屋の広さと用途から計算できます。最終的な設計には現場の確認が必要です。

    施工例:認定こども園・会議室・オーディオ視聴室

    パーフェクトバリア吸音パネルは、子どもが過ごす施設や、音にこだわる空間で使われています。ポリエステル100%で接着剤を使っておらず、においが少ないのも、こうした場所で選ばれている理由です。

    認定こども園の室内。パーフェクトバリア吸音パネルの施工例
    認定こども園での施工例
    認定こども園のホールの天井一面に施工したチャコールグレーの吸音パネル
    ホールの天井一面に貼った例(チャコールグレー)
    認定こども園の廊下。パーフェクトバリア吸音パネルの施工例
    認定こども園での施工例
    木の梁がある明るい室内。吸音パネルの施工例
    木の内装の室内での施工例

    会議室やワークスペースでは、天井から吊るしたり、デスクの間仕切りにしたりと、置き方を変えて使えます。

    会議室の天井に吸音パネルを何枚も吊るした施工例
    会議室の天井に吊るした例
    ワークブースの壁に貼った濃い色の吸音パネル
    ワークブースの壁に貼った例
    デスクの間仕切りに使った吸音パネル。Web会議の反響音対策
    デスクの間仕切りに使った例

    天井に吸音パネルを施工したオーディオ視聴室の例は、こちらで紹介しています。

    吸音パネルの貼り方(写真つき)|道具と6つの手順

    パーフェクトバリア吸音パネルは1枚(900×600mm)約1kgと軽く、カッターで切ってサイズを合わせられます。ここでは、会議室の壁に貼るときの手順を写真で紹介します。

    用意する道具

    • メジャー・鋼製定規(長さを測る・まっすぐ切る)
    • 鋼製直角定規(直角を出す)
    • チョークリール(墨つぼ):壁に線を引く。なくても貼れます
    • 養生テープ:壁紙を守る
    • カッターナイフ:パネルを切る
    • グルーガンとホットメルト(熱でとける接着剤)
    • 虫ピン:下地が石膏ボードのとき(パネルのセットに付属)
    • 45度カッター:ふちを斜めに切って立体感を出す。なくても貼れます
    鋼製直角定規
    鋼製直角定規
    チョークリール(墨つぼ)
    チョークリール
    カッターナイフと替え刃
    カッターナイフ
    グルーガン
    グルーガン
    45度カッター
    45度カッター

    ①貼る高さを決める

    メジャーや定規で測って、貼る高さに印を付けます。鋼製直角定規を使うと、まっすぐ測れて便利です。

    壁に定規を当てて吸音パネルを貼る高さを測っているところ
    定規で貼る高さを測る

    ②壁に横の線を引く

    チョークリール(墨つぼ)で、壁に横の線を引きます。道具がなければ、線を引かなくても貼れます。

    チョークリールの糸を張って壁に横の線を引いているところ
    チョークリールで線を引く

    ③壁に養生テープを貼る

    パネルを貼る場所に、先に養生テープを貼っておきます。テープの上から貼れば、はがすときに壁紙を傷つけません。

    吸音パネルの横の壁に貼った養生テープ
    先に養生テープを貼っておく

    ④パネルを切って、裏にのりを付ける

    サイズを合わせるときは、鋼製定規を当ててカッターでゆっくり切ります。次に、パネルの裏にグルーガンでホットメルトを付けます。

    鋼製定規を当ててカッターで吸音パネルを切っているところ
    定規を当ててカッターで切る
    吸音パネルの裏にグルーガンでホットメルトを付けているところ
    裏にホットメルトを付ける

    ⑤壁に貼る

    パネルの上の辺を線に合わせて、軽く押し付けて貼ります。下地が石膏ボードなら、虫ピンでも止められます。

    吸音パネルを壁に押し付けて貼っているところ
    線に合わせて押し付ける
    吸音パネルを虫ピンで壁に止めているところ
    石膏ボードなら虫ピンでも止められる

    ⑥完成

    これで貼り付けは完了です。立体感を出したいときは、45度カッターでふちを斜めに切ります(面取り)。

    会議室の壁に青とグレーの吸音パネルを交互に貼り終えたところ
    2色を交互に貼った完成例
    45度カッターで吸音パネルのふちを斜めに切っているところ
    45度カッターで面取りする

    グルーガンを使わず、テープだけで貼る方法もあります。壁にマスキングテープを貼り、その上に両面粘着ゲルテープや両面マスキングテープ、粘着マジックテープを重ねて貼ります。

    壁から離して貼って効きを上げたいとき(試験データ)や、内装制限のある部屋・天井に付けるときは、取り外せる金具(スタンドオフポスト・Zクリップ)やワイヤーで付ける方法があります。くわしくは取り付け方法のページで説明しています。

    パーフェクトバリア吸音パネル 取り付け方法の説明シート(金具・テープ・天井)お客様サポート|施工説明パーフェクトバリア吸音パネルの取り付け方法壁から浮かせて止める金具(スタンドオフポスト)、引っかけて付けるZクリップ、天井のワイヤー吊り、接着剤・両面テープまで。内装制限のある部屋での付け方も説明しています。取り付け方法を見る ›

    使う前に知っておきたい注意点

    吸音パネルは部屋の中の響きをやわらげるもので、すべての音を吸うものではありません。となりの部屋や外への音もれを減らしたい場合は、壁の構造など遮音の対策が別に必要です。

    防炎性能について:本製品は日本防炎協会の防炎製品性能試験に適合しています(消防法)。建築基準法の不燃・準不燃・難燃材料の認定品ではありません。内装制限のある部屋の壁・天井仕上げにご使用の際は、設計者・所轄行政庁にご確認ください。

    設置プラン・お見積りのご相談

    「どの壁に、何枚くらい、どう貼ればいいか分からない」というときは、部屋の広さと使い方をお知らせください。伊勢通では床(フローリング・滑り止めオイル塗装)と壁(吸音パネル)をまとめてご相談いただけます。

    まずはお気軽にご相談ください

    まとめ|目的に合わせて「じか貼り」か「浮かせる」かを選ぶ

    吸音パネルは、同じ製品でも壁との距離で効き方が大きく変わります。じか貼りは高い音に強く、子どもの声や食器の音の響き対策に向いています。話し声のこもりには5cmほど浮かせる、低い音まで整えたいなら10cm以上が目安です。

    まずは困っている音の種類と部屋の使い方を整理して、貼り方と枚数を決めましょう。

    吸音パネル パーフェクトバリア

    よくある質問(FAQ)

    吸音パネルの効き方と貼り方について、よくいただくご質問をまとめました。

    吸音パネルは壁にじか貼りでも効果がありますか?
    あります。厚さ9mmのパーフェクトバリア吸音パネルは、じか貼りでも2000Hz以上の高い音を約0.65〜0.85吸います。子どもの声や食器の音の響きには効果が見込めます。ただし500Hz(男性の話し声の高さ)では約0.2なので、話し声のこもりを減らしたい場合は壁から5cmほど離して取り付けるのがおすすめです。
    壁から何cm離すのがいいですか?
    話し声が中心なら5cm以上が目安です。5cm離すと500Hzで約0.65、1000Hzで約0.9になります。低い音まで吸わせたい場合は10cm以上、20cm離すと250Hzでも約0.85になります。
    吸音パネルで、となりの部屋への音もれは防げますか?
    吸音パネルは部屋の中の響き(反響音)をやわらげるもので、音もれを止める遮音材ではありません。音もれを減らしたい場合は、壁の構造など遮音の対策が別に必要です。
    グラフの「平均」は何を表していますか?
    100〜4000Hzの各周波数の吸音率を平均した値です。じか貼りでは約0.3、50mm離すと約0.65、100mm以上離すと約0.75〜0.8になります。周波数ごとの値もあわせて見ると、どの高さの音に強いかが分かります。
    内装制限のある部屋に使えますか?
    本製品は日本防炎協会の防炎製品性能試験に適合していますが(消防法)、建築基準法の不燃・準不燃・難燃材料の認定品ではありません。内装制限のある部屋の壁・天井仕上げに使う場合は、設計者・所轄行政庁にご確認ください。

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