吸音パネルは壁から離すと効く?距離別の吸音率データで解説
吸音率とは?数字の読み方
吸音パネルの性能は「吸音率」という数字で表します。壁や天井に当たった音のうち、どれだけはね返らずに吸い込まれたかの割合で、0〜1の数字で示します。0は「全部はね返る」、1は「全部吸う」という意味です。たとえば吸音率0.6なら、当たった音の約6割を吸っていることになります。
吸音率は音の高さ(周波数・Hz)ごとに違うのが特徴です。目安として、男性の話し声は500Hz前後、女性の声は1000〜2000Hz前後とされています。子どもの高い声や、食器・おもちゃが当たる音はさらに高い音域です。「どの高さの音に困っているか」で、必要な性能が変わります。
吸音は「部屋の中の響き(反響音)」をやわらげるものです。となりの部屋や外への音もれを止める「遮音」とは別の対策です。
壁との距離で吸音率はこう変わる(試験データ)
下のグラフは、パーフェクトバリア吸音パネル(厚さ9mm)の残響室法吸音率試験の結果です。同じパネルを、壁にじか貼りした場合から、壁との間を50mm・100mm・150mm・200mm空けた場合まで、5通りで測っています。横軸が音の高さ(Hz)、縦軸が吸音率で、右はしは100〜4000Hzの平均値です。

グラフから主な周波数の値を読み取ると、次のようになります。
| 壁との距離 | 125Hz 低い音 |
250Hz | 500Hz 男性の声 |
1000Hz | 2000Hz 女性・子ども |
4000Hz 高い音 |
平均 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| じか貼り(0mm) | ほぼ0 | ほぼ0 | 約0.2 | 約0.35 | 約0.65 | 約0.85 | 約0.3 |
| 50mm離す | 約0.15 | 約0.3 | 約0.65 | 約0.9 | 約0.8 | 約0.85 | 約0.65 |
| 100mm離す | 約0.15 | 約0.45 | 約0.9 | 約0.85 | 約0.7 | 約0.85 | 約0.75 |
| 150mm離す | 約0.25 | 約0.7 | ほぼ1.0 | 約0.7 | 約0.8 | 約0.85 | 約0.8 |
| 200mm離す | 約0.45 | 約0.85 | ほぼ1.0 | 約0.65 | 約0.75 | 約0.95 | 約0.8 |
※表の数値はグラフからの読み取り値(目安)です。実際の部屋での効き方は、広さ・天井の高さ・内装・家具などで変わります。
①じか貼り:高い音には効くが、低い音・男性の声には弱い
壁にじか貼りすると、2000Hz以上の高い音は約0.65〜0.85とよく吸いますが、500Hzでは約0.2、250Hz以下ではほぼ0です。子どもの声や食器の音のキンキンした響きには効きますが、男性の話し声や低い音にはあまり効きません。
②5cm離す:話し声の高さをまんべんなく吸う
壁との間を5cm空けるだけで、500Hzが約0.65、1000Hzが約0.9まで上がり、平均も約0.3から約0.65へ倍以上になります。会議の話し声やWeb会議の声がこもる、といった悩みには、この「少し浮かせる」貼り方が効果的です。
③10〜20cm離す:低い音まで効きはじめる
10cm以上離すと500Hzはほぼ1.0に近づき、20cm離すと250Hzでも約0.85まで吸うようになります。パネルの後ろの空気の層が、低い音を吸う働きをするためです。ただし1000Hz付近は少し下がるので、「離すほど何でも良くなる」わけではありません。
壁から浮かせて付けるときは、スタンドオフポスト(壁から離して止める金具)を使います。ポストの長さで、壁との距離を選べます。
部屋の使い方別・おすすめの貼り方
データをもとに、よくある3つのケースで貼り方の目安をまとめました。
①保育室・教室(子どもの声の響き)
子どもの声は高めで、じか貼りでも一定の効果が見込めます。壁の上のほうや天井など、子どもの手が届きにくい場所に広めに貼るのがおすすめです。先生の声の聞き取りやすさも上げたいなら、一部を5cmほど浮かせて話し声の帯域もカバーします。
②会議室・Web会議・在宅ワーク
悩みの中心は500〜1000Hzの話し声です。壁から5cm以上離して取り付けると効果が出やすくなります。木の桟(胴縁)などで壁との間にすき間をつくる方法のほか、自立式の吸音スタンドや、机に置く吸音パーテーションも使えます。
③オーディオルーム・スタジオ
低い音まで整えたい場合は、10cm以上の空気の層をとるのが目安です。天井に貼ると面積を広くとれます。天井に取り付けるときは、両面テープではなくビスなどでしっかり固定してください。
どれくらい貼ればいい?枚数と場所の目安
部屋の大きさや内装で変わりますが、メーカーの目安は「天井一面、または壁2〜3面」です。限られた枚数なら、音が行ったり来たりしやすい向かい合う平行な壁の片側から貼ると、響きがやわらいだのを感じやすくなります。パネルを重ねて厚くする方法でも、吸音効果は高くなります。
必要な枚数の目安は、メーカーの残響時間・必要吸音量 簡易シミュレーターで、部屋の広さと用途から計算できます。最終的な設計には現場の確認が必要です。
施工例:認定こども園・会議室・オーディオ視聴室
パーフェクトバリア吸音パネルは、子どもが過ごす施設や、音にこだわる空間で使われています。ポリエステル100%で接着剤を使っておらず、においが少ないのも、こうした場所で選ばれている理由です。




会議室やワークスペースでは、天井から吊るしたり、デスクの間仕切りにしたりと、置き方を変えて使えます。



天井に吸音パネルを施工したオーディオ視聴室の例は、こちらで紹介しています。
▶ 施工事例: オーディオ視聴室の吸音パネル施工例
▶ 関連記事: 犬の吠え声対策|吸音パネルで近所への響きをやわらげる
吸音パネルの貼り方(写真つき)|道具と6つの手順
パーフェクトバリア吸音パネルは1枚(900×600mm)約1kgと軽く、カッターで切ってサイズを合わせられます。ここでは、会議室の壁に貼るときの手順を写真で紹介します。
用意する道具
- メジャー・鋼製定規(長さを測る・まっすぐ切る)
- 鋼製直角定規(直角を出す)
- チョークリール(墨つぼ):壁に線を引く。なくても貼れます
- 養生テープ:壁紙を守る
- カッターナイフ:パネルを切る
- グルーガンとホットメルト(熱でとける接着剤)
- 虫ピン:下地が石膏ボードのとき(パネルのセットに付属)
- 45度カッター:ふちを斜めに切って立体感を出す。なくても貼れます





①貼る高さを決める
メジャーや定規で測って、貼る高さに印を付けます。鋼製直角定規を使うと、まっすぐ測れて便利です。

②壁に横の線を引く
チョークリール(墨つぼ)で、壁に横の線を引きます。道具がなければ、線を引かなくても貼れます。

③壁に養生テープを貼る
パネルを貼る場所に、先に養生テープを貼っておきます。テープの上から貼れば、はがすときに壁紙を傷つけません。

④パネルを切って、裏にのりを付ける
サイズを合わせるときは、鋼製定規を当ててカッターでゆっくり切ります。次に、パネルの裏にグルーガンでホットメルトを付けます。


⑤壁に貼る
パネルの上の辺を線に合わせて、軽く押し付けて貼ります。下地が石膏ボードなら、虫ピンでも止められます。


⑥完成
これで貼り付けは完了です。立体感を出したいときは、45度カッターでふちを斜めに切ります(面取り)。


グルーガンを使わず、テープだけで貼る方法もあります。壁にマスキングテープを貼り、その上に両面粘着ゲルテープや両面マスキングテープ、粘着マジックテープを重ねて貼ります。
壁から離して貼って効きを上げたいとき(試験データ)や、内装制限のある部屋・天井に付けるときは、取り外せる金具(スタンドオフポスト・Zクリップ)やワイヤーで付ける方法があります。くわしくは取り付け方法のページで説明しています。
使う前に知っておきたい注意点
吸音パネルは部屋の中の響きをやわらげるもので、すべての音を吸うものではありません。となりの部屋や外への音もれを減らしたい場合は、壁の構造など遮音の対策が別に必要です。
防炎性能について:本製品は日本防炎協会の防炎製品性能試験に適合しています(消防法)。建築基準法の不燃・準不燃・難燃材料の認定品ではありません。内装制限のある部屋の壁・天井仕上げにご使用の際は、設計者・所轄行政庁にご確認ください。
設置プラン・お見積りのご相談
「どの壁に、何枚くらい、どう貼ればいいか分からない」というときは、部屋の広さと使い方をお知らせください。伊勢通では床(フローリング・滑り止めオイル塗装)と壁(吸音パネル)をまとめてご相談いただけます。
まずはお気軽にご相談ください
まとめ|目的に合わせて「じか貼り」か「浮かせる」かを選ぶ
吸音パネルは、同じ製品でも壁との距離で効き方が大きく変わります。じか貼りは高い音に強く、子どもの声や食器の音の響き対策に向いています。話し声のこもりには5cmほど浮かせる、低い音まで整えたいなら10cm以上が目安です。
まずは困っている音の種類と部屋の使い方を整理して、貼り方と枚数を決めましょう。
よくある質問(FAQ)
吸音パネルの効き方と貼り方について、よくいただくご質問をまとめました。
